愛は勝つ

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 私は。  純平さんが好きだ。  改めて思う。  私は純平さんが好きだ。  純平さんが好き。  泣いている純平さんが好き。  ううむ。  と私は思った。  それは結構衝撃的な事実だった。  私にとって。  純平さんは私の手を引いてくれた。  目の見えなくなった私の手を引いて、私の部屋まで導いてくれた。  そこにはスマートで的確で優しくて、そして暖かいぬくもりがあった。  それも好きだ。  勿論好きだ。  だけど私は。  泣いている純平さん。  泣いている純平さんの方が、それよりももっと好きだ。  好きなんだ。  いやこの気持ちは。  好きという言葉では言い表せない。  好きなんかじゃなく。  もっと好きなんだ。  好きよりもっと好きなんだ。  好きよりもっともっと好きなんだ。  好きなんか比べ物にならないくらい好きなんだ。  スマートで的確で優しくて暖かい純平さんも勿論純平さんなのだが、  泣いている純平さん、  こらえきれずに泣いている純平さん、  その泣いている純平さんの方が、もっと純平さんなんだ。  もっともっと純平さんなんだ。  純平さんの存在、  純平さんの核、  本物の純平。  私はその本物の純平の存在の核に触れたんだ。  この右手で。  純平に。
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