もう天使ではいられない 5 ユーモレスク

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「・・・」 そうや・・・ママ、厳しいけど 『パパに似て賢いわあ!』 『背が高いのはパパに似たんやねぇ』 って毎日のように言うて 育ててくれた・・・。 パパもピアノ弾いたら嬉しそうに 見てくれてた。 「栞奈が『オメカケさんの子って  言われた』って泣いた日・・・」 「ああ・・・アレ・・・いや別になあ、  あれは、」 そんな思い出話の後に言われたら・・・ 「私の勝手で産んで・・・  ご免なさい・・・迷惑かけて」 「いや、・・・私も小さかったし・・・」 「好きやから産む・・・  勝手な話やったって、あの夜、反省して、『栞奈が大学生になったら東京で  二人で暮らします』ってパパに言うた」 「パパは?なんて・・・?」 いや、先月ここで合格祝いしたときも、 いつものパパやったけど・・・ アレで“終い“やったら パパにゲンナリやな・・・。 「・・・『僕もそれまでには会社を  息子に任せて離婚して東京へ行く。  何も持たんとバイオリンだけ持って  一緒に行く』って言うてくれたけど」 ああ~やっぱ、ゲンナリやわ、 今、ここにいてへんし。 「ありがとう、栞奈。ママに今日まで  恋を続けさせてくれて」 ママがまた弾き始めたユーモレスク・・・。 一小節・・・二小節・・・ 毎晩パパのこと・・・ ママの背中が震えてるから 「下手やなあ!栞奈、弾いてあげるわ」 上がってママと交代。 「エエやん!明日から二人で弾こう」 涙が出ないように威勢よく弾いてたら・・・ 後ろでバイオリンが奏でるユーモレスク。 「 ! 」 中庭でパパがバイオリン弾いてた・・・。 23621e5a-8db7-4e44-9c4c-bd76cfb0c395
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