砂の底

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夏休みが始まった。 街は僕が嫌いな高校生が支配している。 日々、高校以外に行く場所がなく、夏になると僕は引こもる。 部屋の空気はエアコンで煌めき、床に散らばる雑誌の砂に体を埋める。 外から聞こえる元気な声、テレビから流れる行楽地が賑わってるというニュース、セミ、エアコン 音を録音し、GarageBandでズタズタに引き裂き、ニヤける僕の夏は、引きこもっている。 クソ暑い中、暑くなるのは嫌いな僕は、 アイスを食べながら外で騒ぐ人の音を聞きながら、僕のほうがうまく生きてると ラーメン二郎のスレを見ながら僕は負け組なんだと 実感する。 暑い しかし、何かを食べなければ生きていけない。 僕はまだ生きることを諦めていないから、渋々部屋から出て、死なないためにやるアレをするためにコンビニに出かけた。 ほんとに嫌だ。外は 怖い。が、死にたくない。 勇気を振り絞って外に出て、また家に帰ろう。 セミの死骸が転がる街路樹のふもと 僕は、外が怖い。 レジに昼飯を持っていき、会計をしてもらう。 僕はキョドってしまい、目が泳いでる。 お金を探る指が震える。 店員の『こちらはあたためますか?』『箸は1膳でよろしいですか?』という言葉に 僕は涙が出るほど嬉しくなった。 また目がキョドった。 家だ 僕は勝ったのだ!外に! 小さくガッツポーズをし、部屋に戻り 引こもる。 明日も 明後日も いつまでも ずっと ずっと 引こもる。
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