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「なあ」
前を歩くミーシャにアレフが声をかける。
「なあにぃ?」
振り向いたミーシャの口から白い息が機関車の蒸気のように噴き出している。
今朝はいつにもまして寒い。空から降る雪と、建物の窓に着いた霜が朝日を浴びてキラキラ光るのが寒さをより際立たせる。
アレフは寒さに抵抗するようにポケットの中のかじかんだ手を強く握る。
「うまそうだな。少しわけてくれよ」
ミーシャの両手におさまったホットドッグは自らの旨さを見た目でもわからせようとするかのように湯気をたてている。
「ねえ知ってる?コピ・アルクってコーヒー豆があるんだけど」
「うん」
ミーシャの質問に短く答えるアレフ。
「猫のうんちなんだって」
なんだってといい終わると同時に満面の笑みを浮かべるミーシャ。
「お前がそれをわけたくないっていう熱い気持ち確かに受け取ったぜ」
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