第二章・―チョコじゃない、行方は気になる―

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「それ、正確にはプレゼントじゃないんです。あの、お二人にもっといちゃいちゃしてもらおうと思って、吟味に吟味を重ねて選んだ、チョコみたいな入浴剤なんです」 「はぁ。入浴剤……?」  人気のないところに移動しながら、声のトーンも少しばかり落として話す内容は、予想外のものだらけで曖昧に相槌を打つ事しか出来ない。  そんな和音に、相良が続ける。 「だから、是非とも部長じゃなくて、お二人で使って下さい」 「あ、うん。……え? 二人で? 使うの? うん。分かっ……た……?」  状況を把握出来ないまま話は展開され、しかもめっちゃ終わりに向かっているのに、半ば放心状態の和音だったが、相良は満足そうに言いたい事だけを伝えるばかりだ。 「それじゃあ、私はこれで失礼します。部長、末永くお幸せに、爆発して下さい」  そして相良は嵐のように捲し立て、嵐のようにさっさと帰ってしまった。  後に残されたのは、その手に乗ったままのプレゼントボックスと、放心したままの和音だけであった。
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