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「あ、あれは、その……。俺にじゃあなくて、俺達にイチャイチャして欲しくて買ったって、相良が……」
「は?」
今度は秀臣がそう返す番だったが、しばらく黙ったままで何やら考えていたのだが、やがて自分の中で納得がいく理解をしたらしく、にっこり笑う。
「俺達の関係がバレた原因は分かりませんけど、そういう事なら許してあげます。で、結局中身は?」
「に、入浴剤って、言ってた」
まるで浮気がバレた妻が言い訳をしているような狼狽えっぷりだが、実際は何もやましい事はしていないのにと、すぐさま思い直す。
「俺は、何も言ってねぇからな」
「理解ってますよ。和音さん、そういうの言いふらす質じゃあないし。でも、使ってというなら、お言葉に甘えて使いたいですね」
完全に手綱を握られている感はあるのだが、すっかり秀臣に心を許してしまっている和音としては、そんな関係すら安心出来る。
今まで人の中に深く踏み込むのを怖がっていた和音には、こうして何でも話せる相手が出来たのは、とても幸せな出来事なのだ。
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