第二章・―チョコじゃない、行方は気になる―

12/19
前へ
/25ページ
次へ
「よし! チョコを食うぞ!」  出るなり妙に気合いの入った感じで言われ、まず座ろうよとか思いながらも、苦笑して返す。 「珈琲は淹れますか?」 「おう!」 「じゃあ、座ってて下さい」 「おう!」  ソファに座り、そわそわと待つ和音を見ながら、てきぱきと珈琲を淹れ、作っておいたチョコを出して、お盆を持ってリビングへと移動する。  そうして隣に座りながら、お盆の上に乗る珈琲カップとチョコをテーブルに置いた。 「はい。どうぞ」 「おぉ! チョコ!」  チョコはドーム型のもので、上にチョコで作った薔薇や、プレートにはボンボンショコラなどが配置されている。 「可愛い! そして美味そう!」  プレートごと手に取ったところで、何故だかカラカラと、中から音がする。 「……?」  和音も気付いたらしく、耳元まで持っていき、カラカラと揺らして確かめている。 「これ、使って下さい」  首を傾げる和音に、小さな玩具みたいな木槌を手渡す。 「割れって事か?」 「はい」  受け取り、束の間躊躇する。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加