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しかし、秀臣が言うのだからと、プレートをテーブルに置き直し、思い切って小槌で割ってみた。
そうして和音は、プレートの上で大小様々に割れたチョコに混ざり、きらりと光るモノを発見する。
「……これ」
信じられないものを見るように、ゆっくりとした手付きで取り上げたのは、リングの外周をぐるりと囲うように同カット・同サイズの小さなダイヤを留めた、エタニティリングであった。
「……」
「か、和音さんには、指輪をもらいましたけど、あれはほら、婚約指輪って事で!」
指輪を前に、先刻までの勢いも消沈し、急に黙ってしまった和音を見て、やはりまずかったかと、焦って説明する。
「あの、これ、け、結婚指輪って事……なんです、けど」
「……うん」
ようやくの事で聞けた返事がそれである。
「和音さん? やっぱり、迷惑でしたか?」
「どうしよ……。俺、今、すっげー幸せ」
指輪を大事そうに握り締めると、とうとう泣き出して、そのまま俯いてしまう。
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