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そんな中で、将来に不安がないと言えば嘘になるし。普段は自信に満ち溢れているように見える和音ですら、不安に駆られてしまう時があるのだろう。
秀臣にだって同じ事が言える。
和音が愛おしい。大好きで愛していて、今すぐにでも関係を世間に対して、大声で暴露してしまいたいくらいには、それなりに独占欲も持ち合わせているのだ。
「……和音さん、大好きです」
「お、俺も。俺も。ヒデ。ヒデぇ」
いつの間にか、和音は感極まって泣いてしまっていたようだ。
縋るように抱きついてくる和音の顔を上げ、優しいキスをする。
「……ん」
いつもとは違う。触れるだけの、一瞬のキスだ。
だが、和音は幸せそうな表情を隠さずに、満面の笑みを浮かべて呟いた。
「ヒデ、俺も、好き。大好き」
「和音さん、これ以上煽らないで下さい」
破壊力抜群の無邪気な笑顔に、ちょっとばかり煽られた秀臣が、何とか平静を装いつつそう返す。
すると和音が首を傾げながら、照れる秀臣の顔を覗き込んできた。
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