第一章・―初めてのバレンタイン―

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「……え。プレゼントっすか?」  という訳でゆっくり出勤してきた部下にして、同棲中の恋人である(いま)(がわ)(ひで)(おみ)を捕まえるなり、人気のない場所まで連れて行き、先程のプレゼントを見せる。 「あぁ。差出人も不明でよ」  困っている風を装えば、助けてくれるかと思いきや、にやにやしながらプレゼントを突き返される。 「相変わらず部長ってばおモテになって。良いじゃないっすか。もらっておけば」 「え……」  今朝とは違う言葉が予想外で、てっきりいつものような嫉妬が入るものと思っていた和音は素で返してしまう。 「え。……あ、あぁ。えっと、一応嫉妬というか、俺にこんなん見せてくる和音さんには、呆れてますけど」  それで空気を読んだ秀臣が慌てた様子で取り繕うのに、更に落ち込んだ和音が俯きながら呟く。 「じゃあもらっとく」 「あ! 嘘嘘! 嘘っすよ! いや、何で俺に相談!?」 「……」  すっかりへそを曲げてしまったようで、年甲斐もなく口を尖らせ拗ねきっている。
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