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「……だって、お前が言ったんだろ。俺達にとって、初めてのバレンタインですねって、今朝……」
「あ。いや。今朝、めっちゃ怒られたから、気にしてないんだと思ってました」
言われて和音も気付く。自分の照れ隠しに笑って返してくれたが、あれはあれで目茶苦茶気にしていたのかと。
「お、俺だって……。ちょっと、嬉しかったし」
だから思い切って本音を漏らしてみる。
きっと顔どころか耳まで真っ赤なのだろうが、今の和音には気にしている余裕すらないのだ。
「和音さん、済みません。ちゃんと話、聞きますから」
すると秀臣も、さすがに悪かったと、平謝りするのに、ようやくの事で視線だけ向ける事に成功する。
「差出人不明なんですよね? 手がかりとかはないんですか?」
「ん」
これしかないと、メモを見せるとにっこり笑ってくれた。
「あー、これならすぐ分かりそうですね。俺、顔だけは広いんで、他部署の友人に、それとなく聞いてみますよ」
メモを受け取るなり早速問題が解決しそうな兆しが見えて、和音も内心でほっとする。
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