第一章・―初めてのバレンタイン―

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「昼休みまでには解決しますよ。大丈夫」 「うん。……サンキューな、ヒデ」  プレゼントボックスを持て余しながらも、素直にお礼を言う様は、最早どちらが歳上か分からない。  何だか可愛い、いつもこんな可愛さだったらなぁと、秀臣は小さく息を吐く。 「和音さん、可愛いです」 「は? 阿呆か。俺が可愛い訳ねぇだろ」  途端に先刻までのデレはどこへやら、いつもの調子に戻ってしまった和音を前に、秀臣が珍しく食い下がる。 「先刻までのデレはどこいったんすか。めっちゃ可愛かったのに」 「……これ、てっきりお前からと思って、ぬか喜びした」 「あ、あぁ。あぁ。あの、俺のは家にあります」  へそを曲げたのはそういう事かと、説明するとまたも嬉しそうな表情に変わる和音が、無意識なのだろうが秀臣の服の裾を掴みながら笑みを浮かべる。 「マジ!? やった。良かった」 「帰ったら俺が夕飯作りますんで、ゆっくりしてから珈琲淹れて食べましょう」  社内で萌えさせてどうすると、今すぐにでも襲いたい衝動と闘いながら会話に没頭する。
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