第二章・―チョコじゃない、行方は気になる―

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 ようやく迎えた昼休みに、早速和音を捕まえていつものように屋上で弁当を広げ、人心地ついたところで本題に入る。 「マジで? こんな早く見付けるなんて、すげぇな、お前」  秀臣が作った卵焼きを頬張りつつ、満面の笑みを浮かべる和音に見惚れながら頷く。 「経理課の女の子らしいですよ」 「名前は?」 「えっと、(さが)()さんっていう女性だって、経理課の友人が言ってました」  同僚から聞き出した名前を反芻するのに、和音が何か思い出すみたいに思案しだす。  そうしてようやくの事でぽんと手を打つと、箸を置いてから言った。 「思い出した。何度か部下が出した書類の事で、打ち合わせのために話した女子社員だ」 「そうなんですか」  だけどそれだけの関係だと、慌てた様子で言い訳みたいに続ける和音に、子供みたいだと小さく笑う。 「よし。じゃあ、プレゼント返さなきゃな」  ボックスを常備していたようで、弁当箱の横に置くとにっといたずらっぽく笑う。
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