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19 大作戦の裏事情
大祐の妬きもちは、真友子には全くの想定外だった。
それだけに、彼からシミュレーション中断のメールが突然送られてきた時は、一瞬、仕事が多忙になったのかと思ったほど。
しかしその日の夜、誰もいない冷えた寝室に入った途端、大きな不安が
真友子を襲った。
もしかしたら大ちゃん、やっぱりこんな暮らし方に意味はないって
思ったのかな。
だが真友子にとっては、たとえ一週間の大半を彼の寝顔しか見られなくても、疲れた心に彼の存在はひと時の癒し。
いや、無防備で安らかな寝顔を見ているだけで、大祐の温もりに包まれている気がして大きな安心を得られていた。
しかし、大祐は違っていたとしても不思議はない。
現に、シミュレーションを始めて一週間ほどで、自分の役割である食事も
平日は全く作れなくなった。
週末だって、真友子の疲労を案じる大祐が、料理以外の家事はみんなやって
くれる。
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