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だが大祐は、再び逃げ腰になった自分にかぶりを振った。
「せめて、返事はちゃんとしないと」
ところが、そう意を決して開いた真友子からのメールを読んだ大祐の胸は、
なんとも複雑に痛んだ。
『大ちゃん。長い間、何もしてあげられなくてごめんね。』
謝罪の言葉から始まったメールは、たったの一通。
しかしそこには、真友子の抑えた気持ちが痛々しいほどに詰まっている。
『それと、もし何か気に障る事をしてたらごめんね。
でも、今のプロジェクトも明日のプレゼンで山場が終わるから、
明日からはご飯もちゃんと作れると思う。
だから大ちゃんも、無理でないなら帰ってきて。待ってるね。』
はぁ……。
大祐は、声に出した溜息と共に頭を抱えた。
先に謝ってきた彼女は、何一つ悪くはない。
それどころか、そもそも多忙期のシミュレーション中断を断ったのは
大祐の方で、その時に彼女の多忙さを含めて全てを受け止めたいと
豪語したのも彼自身だ。
なのに結果は、子供じみた嫉妬が彼女を何度も謝らせている。
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