42人が本棚に入れています
本棚に追加
取り敢えずでも、メールで謝るのは卑怯だよな。
ってか、逃げ出した僕が言えることじゃないけど、やっぱり謝るなら
顔を見てしなきゃダメだろう。
しかし一方で、昨日送られてきた彼女のメールに、返事をしていないまま
というのも気にはなる。
ところが、そんな事をウロウロと考えている彼の耳に、遠く玄関の鍵が
開けられる音が届いてきた。
それにドキッと胸が跳ねると同時にダイニングの扉が開き、視界の中に
真友子の姿が飛び込んでくる。
「お、かえり……」
しかし、予期せぬ時間に大祐の姿があるのに、よほど驚いたのだろう。
表情を固めたままの彼女は、その場でしばし立ち尽くす。そして、
「大ちゃん……」
呟いた真友子の顔が、微かに歪んだ。
最初のコメントを投稿しよう!