18 決意のバレンタイン

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ところが、事の次第を口にしかけた大祐の目の前で、彼女の細い背中が 小さく震え始めた。 えっ? えっ? 何? 大祐の思考が空白になりそうなほど、一気に狼狽えた。 ど、どうすりゃいい? 自慢じゃないが、生まれてこの方、女性を泣かせたことは一度もない。 姪の有希だって、赤ん坊の頃を含めて泣かせたことはない。 お陰で大祐は、完全なるパニックに陥った。 「あ、あの、まぁゆ。ごめん、本当にごめん。 あの、えっと、えっと、えっと、ごめん。 ごめん、ごめん、ごめん、ごめんっ!」 戸惑いと混乱が加速して、自分でも何を言っているのか分からない。 そのせいか、とにかく口を突いて出てくるのは「ごめん」ばかり。 そして、か細く泣きながらひたすらかぶりを振り続ける彼女に、 近づいて良いのかも分からない。
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