18 決意のバレンタイン

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それでオロオロしつつも、もう一度おずおずと「まぁゆ」と呼び掛けて みると、短く涙をのみ込んだ彼女が、声の端を震わせつつも謝ってきた。 「ごめんね。でも、大ちゃんが戻ってきてくれて嬉しくて……」 それを聞いた途端、大祐の胸はギュッと鷲掴みされ、苦い罪悪感が広がった。 そして、まだこちらに向けられたままの細い背中を思わず抱きしめた。 「悪いのは、みんな僕だよ。ごめんね、まぁゆ」 大ちゃん。 呟いた彼女が、ゆっくりと振り返り大祐の胸に顔を埋める。 大祐は、その細い体を抱きしめて、改めて詫びを口にした。 「僕さ、実は、ちょっと妬きもち妬いてたんだ」 えっ?  恐らく、全く予期せぬ事を言われたのだろう。 涙を頬に残したままの真友子の顔が、大祐を見上げた。
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