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ごめん。
大祐は、真友子に回していた腕をそっと下ろして項垂れた。
その途端くるりと背を向けた真友子に、グサリと音が聞こえそうなほど
大祐の胸が痛んだ。
あぁ、もうダメなのかな。
大祐の頭が、更に深く落ちる。
ところが、そんな彼の頬を彼女の手がそっと包んだ。
「大ちゃん、あれは仕事用の笑顔」
えっ?
大祐は、目の前でにっこりと笑う彼女に、視線を戻した。
「あの時ね、今度のプレゼンの助けになればと思って、
クライアントが新しく開く展示場を視察に行ったの。
けど、残念ながらプレゼンに使えそうなものは何もなくてね。
でも、わざわざ開設前の場所を見せてもらった以上、
プレゼンに盛り込まないわけにもいかないし、本当は困ってたの」
「そうだったの?」
うん。
細い指で優しく大祐の頬を撫でながら、目の前の彼女が頷く。
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