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「でも悲しいかな、仕事だと、そういう時に空元気の笑顔を作る癖が
ついちゃっててね。
だけど大ちゃんの前では、自然のままで居させてもらえる」
そして、再び「大ちゃん」と呼び掛けられた彼女に、今日は何の日かと
尋ねられる。
「えっ? 今日? って、えっと……」
だが、昨日からの嫉妬騒ぎでパニクっていて、思い付くのはトンマな結果になった受診日くらい。
そんなにわかに狼狽する大祐の目の前に、ふっとパステルカラーの
小さな紙袋が差し出された。
「大ちゃん。今の私にとって、大ちゃんは世界で一番大好きで大事な人。
だから、私の気持ち受け取ってください」
あっ……。
気付いてみれば、今日はバレンタイン。
そして、おずおずと紙袋を受け取った大祐は、目の前の真友子に
小さく尋ねた。
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