19 大作戦の裏事情

1/4
前へ
/37ページ
次へ

19 大作戦の裏事情

大祐の妬きもちは、真友子には全くの想定外だった。 それだけに、彼からシミュレーション中断のメールが突然送られてきた時は、一瞬、仕事が多忙になったのかと思ったほど。 しかしその日の夜、誰もいない冷えた寝室に入った途端、大きな不安が 真友子を襲った。 もしかしたら大ちゃん、やっぱりこんな暮らし方に意味はないって 思ったのかな。 だが真友子にとっては、たとえ一週間の大半を彼の寝顔しか見られなくても、疲れた心に彼の存在はひと時の癒し。 いや、無防備で安らかな寝顔を見ているだけで、大祐の温もりに包まれている気がして大きな安心を得られていた。 しかし、大祐は違っていたとしても不思議はない。 現に、シミュレーションを始めて一週間ほどで、自分の役割である食事も 平日は全く作れなくなった。 週末だって、真友子の疲労を案じる大祐が、料理以外の家事はみんなやって くれる。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加