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そして、
「ご苦労さん。みんな、ずっと終電帰りだろ?
結果は明日にならんと出ないし、せっかくのバレンタインだ。
相手がいるヤツも、いないヤツも、今日はこれで帰っていいから
ゆっくりしてくれ」
営業部の真山課長からも、マネージャーの桑部からも同じような労いと
気遣いをもらい、さすがに疲労の溜まった体にはすごく有難かった。
そしてそれは誰しも同じと見え、二時すぎにはプロジェクトの全員が退社。
もちろん真友子も帰路についたが、仕事という気持ちの逃げ道がなくなると、やはり再び不安が膨らんでくる。
だから、まだ人の姿の少ない電車に乗り込んで間もなく、真友子はバッグからスマホを取り出した。
しかし、まだ大祐からの返信は届いていない。
そして、もしもこのまま今夜も彼がマンションにも戻って来ず、
連絡も取れなかったら……。
そうと思うと、帰るのが怖くなる。
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