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18 決意のバレンタイン
またしても、やらかした。
帰宅の電車に揺られながら、大祐は密かに細い溜息を零した。
結局、イライラやら不安やらでほとんど一睡も出来ずに迎えた、この日。
会社に休みをもらい、受診をしに行った先で、大祐は医者の目を点にさせた。
「あの、なんだか僕、若年性更年期になったみたいなんです」
「どうされました?」と尋ねられ、答えた大祐の顔を目の前の中年の医者が「えっ?」と声を詰まらせ見返してくる。
だが、さすがはプロ。
目元に淡い苦笑を浮かべつつも、「おやおや」と繋いで、医者は穏やかに
尋ねてきた。
「どうして、そう思われたんですか?」
だから大祐も、昨日の出来事をつぶさに言葉にする。
そして最後に、昨夜は眠れなかったと伝えて小さく肩を落とした。
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