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陽が落ち、闇が街を包めば煉瓦の建物が連なる街並みに明かりが灯る。
温かい火の光に包まれる街並みは、夜だと言うのに美しい。
まだ冷たい空気は暗い空に浮かぶ星々を殊更眩しく輝かせた。
街の中心にある、シンボルとも言える時計台の針が10時を指し、それを知らせるように町中に柔らかい鐘の音が鳴り響いた。
その鐘の音を合図に街の中の一際大きな屋敷で女性の声が響く。
「カイネ!!リンネ!!もう寝る時間よ。」
夕食の洗い物を終えた女性は二人の可愛い息子の名を呼び、姿を探す。
バタバタと広い廊下を走り回る子供達の足跡にため息をつく。
やんちゃな遊びたい盛りの双子の男の子。
母親の言う事など聞くはずもなく、笑い声を響かせながら母の隣を駆け抜ける。
最初に兄のカイネ。
そして、弟のリンネ。
カイネは上手に母親の隣を駆け抜けるが、リンネはすり抜けざまに母親に捕まり抱き上げられてしまった。
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