プロローグ 『おとぎ話』

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リンネは抱き上げた母の腕の中で手足をばたつかせ暴れるが、母の手を振りほどく事は出来ずべそをかきながら兄カイネに助けを求めた。 カイネは弟が母親に捕まったと知れば、踵を返し魔王を前にした勇敢な勇者の如く向かっていく。 「母様!!リンネを離して!!」 勇敢に向かっていくが母には適わず、体当たりしてくるカイネの後ろ襟を掴んで持ち上げる。 二人揃って手足をばたつかせるが、母には何処吹く風。 軽々と二人の部屋まで運び、部屋の中へと降ろした。 「はいはい、着替えて寝る用意!!」 強気に二人を指差しながら発せられる母の言葉に、カイネとリンネは踵を揃え直立不動で、きりっとした仕草で敬礼をする。 二人同時に動くその姿に母は呆れたようにため息をついて部屋を出ていった。 母の足音が遠ざかるまで、二人は敬礼を続ける。 先に動いたのはリンネ。 込み上げる笑いを抑えきれなくなり、笑い出す。 .
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