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先生とコイツを鉢合わせさせたくない。
俺はどうすれば先生を守れるか頭の中で考えを思い巡らせた。
「へぇ、美人だね。義兄さんの彼氏?」
「あ」
「歯医者だよ」
先生の声を遮って俺はきつい口調で言い捨てた。
背後で先生が固まった気配を感じた。
けど先生が和哉に絡まれないように、話に少しでも早くキリをつけたかった。
俺はただ、先生が誤解して傷ついていないことを願っていた。
「ああ、先生か。
タケルの弟の和哉です」
「歯科医の長谷川です」
先生は俺の様子から何かを感じとってくれたようで、普段の落ち着いた歯医者の顔で返答した。
皮肉なことだけど、先生が今までの経験から人付き合いに用心深いことに助けられた。
和哉はふっとため息をつくと、肩をすくめて笑った。
「義兄さん。
感動の再会なのに義兄さんがピリピリしてるから、歯医者さんにまで警戒されてるじゃん」
「用件は何だ」
俺が家を出てから何年もたつのに、今さらなんだって言うんだ。
「あまりに俺を避けるから、何か勘違いしてるのかと思ってさ」
「勘違い?」
「俺は義兄さんを嫌いなわけじゃないよ。
家に帰っておいでよ。
皆待ってるから」
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