決意

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「何を言ってこようが俺達には関係ない。 お前に漬け込む余地はない」 和哉に言葉を吐き捨てると鍵を開けて家に入った。 強気に出たものの、気が気ではなかった。 いつまでたっても和哉の動向が気になって、夜になっても寝付けず、ビールでも飲めば寝れるかと思いコンビニに行こうと外に出ると、もう和哉の姿はなかった。 俺はただ、先生が俺だけを信じてくれるよう祈るしかなかった。 翌朝いつもの時間に病院の前を通ると、先生が日課の掃き掃除をしていた。 普段通りに生活している姿が見えて、ほっとした。 「先生、おはよう」 「おはようございます。 昨日はバーベキューありがとうございました。 片付けまで全部引き受けてもらって」 「全然。 また行こうよ。 あれ…、今日はタートルネックなんだ」 先生の朝の姿は決まってオフホワイトのトレーナーなのに、今日に限って同色のタートルネックになっている。 「朝、コーヒーを溢してしまったんです」 「大丈夫? 火傷しなかった?」 「それはないです。 ありがとう」 「ならいいけど。 俺 、先生の肌綺麗で好きだから傷つくのは嫌だからね。 今度チェックするから」 「タケル君は、ほんと心配性ですね」 苦笑する先生は照れて赤くなっていた。 ずっと一緒にいたい気持ちを抑えて俺は駅に向かった。 先生と会った後のふわふわとした甘い余韻に浸っているうちに、俺の中にあった危機感はいつの間にか消え失せていた。
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