ずっと

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ずっと

俺たちは無言のまま、車はぐんぐんと夜の道を進んでいく。 高ぶっていた気持ちも次第に落ち着きを取り戻していくと、今度は妙に気恥ずかしくなってきた。 別れるなんて言っておいて、ノコノコと車に乗せてもらってるもんだから、目が合うだけで手も繋いだことのない付き合いたてのように照れ臭い。 先生ととなり合っている右半身がジリジリと熱い。 「あ、あのっ」 最初に口を開いたのは先生だった。 「タケル君、気になってるかなってずっと思ってたんですが、その……っ、和哉君とは、してませんから!」 突然の告白に驚いて先生のほうを見ると、ちょうど信号待ちで、先生と視線がぶつかった。 真っ白な肌が赤く染まっているのが、暗い車内でもよく分かる。 「本当に大丈夫だった?」 「はいっ。 ちょっと触られたくらいで」 「それ大丈夫って言わない! どこ?」 「えっ、あの…」 先生は口ごもって俯いてしまった。 後続車からクラクションを鳴らされて前を見ると青信号に変わっていた。 先生は急いでアクセルを踏んだ。 「先生は、チョコレートだね」 先生はこっちを向いたままキョトンと目を丸くした。 「最初会ったとき、先生はダークチョコレートだと 思った。 甘そうなのにあまりに苦くて。 けど、今日の先生は違う。 新しい先生を見てるみたいだ」 「タケルくんのおかげです」 「そう言ってもらえて嬉しいよ。 確かに俺と知り合ってから先生は柔らかくなってきた気がする。 けど、それだけじゃない。 俺をきっかけに先生は自分の力で過去の傷を克服したんだと思う。 だから、今こうして一緒に帰れてる。 ありがとう」 運転しながら先生は嬉しそうに笑った。 「ずっととなりにいてくださいね」
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