初めての出会い

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第15章(君がくれた奇跡) ある朝、いつものように脇でくるまりながら眠るラッキーを起こすと目を開けようとしない。 余程眠りが深いのかな?と思い、何度か「ラッキー」と起こそうとするが、それでも動こうとはしなかった。 そう……ラッキーは永遠の眠りについた。 覚悟はしていた……。 ラッキーは今にも起きそうな表情だった。 幸せそうに口の端を少し上にあげていた。 まるで微笑んでいるかのように。 泣かないと決めていたのに…自然と流れ落ちる涙を止める事は出来なかった。 そんな私を後ろから優しく抱き締めてくれる母。 母もまた私に聞こえぬように泣いていた。 硬直してゆく身体を、清潔なタオルで拭く。 その後、惜しみつつも呆気なく火葬されていったラッキーの亡骸を、近くの動物霊園に埋葬した。 ラッキーが亡くなってから数ヶ月経ち。 私は、花壇に花を植えようと庭に出ると一輪の蒲公英の花が咲いていた。 「何でこんな所に蒲公英が?」 よく見ると、少しだけ盛り上がった土。 花が崩れないように掘り起こしてみると、そこには私が中学生の時に着ていた体操服の半袖の上着があった。 「何で、これがここに?」 思い返すと中学生の頃、虐めにあい"死ねばいいのに"と落書きをされていた上着だった。 私は"絶対捨ててやる"とゴミ箱に捨てようとしながらも気弱な私には出来なかった。 きっと、そんな不甲斐ない私をラッキーは見て変わりに捨ててくれたんだろう…。 上着にはラッキーが噛んだであろう穴が空いていた。 私は、その上着の泥棒を落としギュッと抱き締め深呼吸した。 そして、眩しく照らす日差しを見上げ 「ラッキーありがとう!ずっと大好きだよ!」 と言ってあげた。
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