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第12章(誕生日)
ラッキーが家族になってから、1年が経とうとしていた。
刻を刻むのは早いもので1歳を迎える。
君は相変わらず活発過ぎるから朝になると遊んでとばかり顔をペロペロする。
その姿を見て微笑む母。
ラッキーは来た頃は掌サイズだったのに、いつの間にか少しだけ成長していた。
よくいう、やんちゃ坊やに手を焼いてしまう。
初めての誕生日何をあげようか悩んでいた。
母は、ピンク色が好きで首輪を買ってきた。
因みにラッキーはオスなのだが……。
他に何か出来ないか悩んでいた。
病院の帰り道、商店街にある表札が目に入った。
木製の出来た表札には「アラモード」の堀込がされてあった。
吸い込まれように店内へ入るとオシャレに名入れされたオリジナル雑貨が飾られてあった。
商品を手に取り見ていると、店の奥から若い女性が出てきた。
その女性はエプロン姿でいかにも職人というなりたちだった。
その女性は、私に
「何かお探しですか?」
と聞いてきたので
「あの、犬用なんですけど首輪に名入れ出来ますか?」
と訪ねると
「出来ます」
と笑顔で答えてくれた。
日にちも2~3日程で出来上がるとの事で迷わず注文する事にした。
数日後、店に取り行くとカウンターには、あの女性が立っていた。
私が店内に入ると覚えていてくれたみたいで
「お待ちしてました」
とカウンターに出来上がりを出して見せてくれて。
見てみると私が、注文したのとちょっと違っていたので訪ねてみた。
「あのー私が注文したのは、ひらがなで "らっきー"だけですけど」
そう言うと女性は笑顔で
「サービスです!」
と答えてくれた。
"らっきー"とひらがなの横に犬の可愛らしい手形が2つもいれてくれたのだ。
私は、もうし訳ないので追加料金はいくらか訪ねると
「お客様に喜んでいただけるだけで充分です」
と答えてくれた。
私は、このご時世にも良い人が居ると感心させれた。
誕生日当日、ラッキーに首輪をかけてあげた。
ラッキーは、喜んでくれるだろうか。
かけてあげた時の首を傾げた君の顔は今でも覚えているよ。
私にとっても母にとっても微笑みの絶えない素敵なものになった。
君の首輪の穴が成長の記しで、これからも一緒だよ。
「ラッキーお誕生日おめでとう」
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