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第13章(捜索活動)
ラッキーは、寒さの中でもお構い無しに、はしゃいでいた。
私は、持っていたリードから手を離してしまった。
ラッキーは気づく様子もなく1人先を行ってしまった。
大声で叫ぶも猛吹雪のせいで、声が聞こえていない様子だった。
あっという間にラッキーが何処かに行ってしまった。
慌てて真っ青になりながら母も私も、夜も眠らず探したが見つからなかった。
君は何処に行ってしまったの?
事故にあったらどうしよう……。
この寒さの中、凍え死んでしまったら……。
私は、自分を責めずにはいられなかった。
翌日、昨日の吹雪は嘘のように雲ひとつない快晴な空模様だった。
本当は、私も仕事を休んで探そうとすると
「大丈夫よ!あなたは仕事に行きなさい」
と言ってくれたので、母に任せて出勤した。
仕事中心配になり、携帯に連絡が来てないか何回もチェックした。
携帯を見ると連絡は来ていなかった。
急いで自宅に帰ると階段を指指す母。
2階を見上げると階段の脇から、ひょこっと顔を覗かせて「クゥ~ン」と鳴き尻尾を振り、私を待っていてくれた。
私は、無事帰って来てくれた事に思わず号泣した。
そんな私につられたのか母もまた涙ぐんでいた。
その夜は、思いっきり優しく抱擁してあげた。
私は、何度も何度も「ごめんね愛してる」と伝えた。
ラッキーは安心した様子で私の隣で眠った。
次の日、母から話しを聞き命の恩人である、おばあちゃんの家にお礼しに行った。
とても優しそうな可愛らしい、おばあちゃんだった。
本当に感謝の言葉しか出なかった。
「ラッキー、君は本当に奇跡を起こしてくれたんだ。
無事に帰ってきてくれてありがとう」
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