7人が本棚に入れています
本棚に追加
第6章(春夏秋冬)
ぼくの名前は、ラッキー。
人間の年齢からすると60才らしい。
ぼくは、これまで沢山の誕生日を迎え今にいる。
本当にあっという間だった。
だけど、元気いっぱいは変わらない。
それに、ご主人とまだ居たい。
思えば今に至るまで、沢山の経験と景色をみてきた。
・暖かな、そよ風の吹く春
ご主人は、ぼくを広場へ初めての散歩へ連れて行ってくれた。
高く伸びる雑草を、小さかったぼくは、たどたどしい足取りで一生懸命に走った。
・蝉が世話しなく鳴く夏
ご主人は暑さにバテていた、ぼくを広い水溜まりのある所へ連れて行ってくれた。
人間の世界では、『湖』と呼ぶらしい。
ぼくは、好奇心いっぱいに飛び込み溺れまいと必死に泳いだ。
・涼しさも増し葉が色づく秋
ご主人は愛車で遠くに連れて行ってくれた。
そこは、空を見上げるぼどに高く伸びた樹木が立ち並んだ所だった。
人間の世界では、『紅葉の並木道』と呼ぶらしい。
1枚1枚、形の葉が風に舞う中ぼくは、かけっことばかり、はしゃいだ。
・凍えるような寒さと町も白く染まる冬
炬燵の中でまるまりスヤスヤの眠りこける、ぼくを起こし窓の外から見える庭を嬉しそうに指を指す。
ぼくは、広い庭から見える光景に目を輝かせる。
眠気もそっちのけで庭に飛び出したぼく。
辺り一面、白く化粧した雪を青空から差し込む暖かな木漏れ日は幻想的にキラキラさせていた。
ぼくは、時が止まったかのように景色を眺めた。
どの体験も、ぼくにとっても大切な想い出。
ご主人と一緒に見れた景色は、今でも、ぼくの目に焼き付いてる。
最初のコメントを投稿しよう!