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第10章(君に出会えた)
これから、語るのは私事主人の物語りである。
私は、小さな時から病弱であり入退院を繰り返す日々だった。
友達も居なく、そんな日々に嫌気が差し引きこもるようになり、最悪は自殺までも考えてしまった。
そんな私を見かねたのか、普段外には誘わない母が私を車に乗せ連れ出す。
「何処に行くの?」って聞いても「うーん…ちょっと」の繰り返し。
どうせドライブがてらなんだろうな。っとネガティブになっていた。
「着いたよ」と車を止めた先には、沢山の車と人混み。
私が人混みも人間すらも嫌いな事を知ってるくせにっと拗ねてしまう。
母は、そんな私の手を取り「いいから来なさい」と建物の中へと進む。
案の定、人混みの山で気持ち悪ささえ覚えた。
そんな私に手招きをする母に近付いていくと、目の前ゲージの中に怯えながら踞る犬の姿があった。
沢山のペットが居る中で迷わず、その子を見つめる。
そんな私を見て「どう可愛いでしょ?」
「うん」
「飼っちゃおうか」
「えっ!?」
母の予期せぬ言葉に驚いてしまった。
「だって動物は買わないって前に言ってたでしょ?」
「あらっ?そうだった?」
その言葉に口を尖らせムスっとした表情になってしまう。
「あなたには、明るく居てほしくて」
その言葉に嬉しさと申し訳なさに涙ぐんでしまった。
私の表情を見て、今までそっぽ向いていた子が私を見つめていた。
私の気持ちを察したように、「く~ん……」と鳴いた。
私は、迷わず。
「お母さん!私ちゃんと面倒見るから飼ってもいい?」
「うん!良いわよ!」
そして、君と出会った。
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