4人が本棚に入れています
本棚に追加
大谷地という札幌の地下鉄東西線の駅がある。都会でもないし、寂れてもいない。大学生も結構近所に住んでいる。その駅から少し歩いたところに、お好み焼きのチェーン店である風月亭がある。そこで待ち合わせ。
ニルレムは驚く。龍神の末裔の女の子は赤いティーシャツと普通のデニムで待ってますとの事だったのですぐに分かったが、完全にイケテル女の子だった。が、センスは微妙。テーブルの下にきちんと脚をそろえている。赤いスニーカー。デニムはやや深めの紺色でここまではいい。シャツは本当に赤くて、胸全体に大きく白い竜が渦を巻いている。いや、趣味が謎だ。
「はじめまして、にるれむ・えの です。」
女の子は自分のテーブルの横にたった余りにも好みの男を見て、少し口があいたまま数秒を過ごしてから慌てて挨拶した。
「はじめまして、鈴木 理沙です。」
ニルレムは基本的に変な人を探している。龍神の末裔と噂された理沙もススキノのオカルトバーのマスターに聞いて、会う段取りをしてもらった。本当に龍神の末裔なのかは外見上分かるわけもないし、多くの人が信じない。まさか耳の裏に竜の逆鱗でもあるなら別だろうが。
「あ、どうも、マスターの紹介とは言え、変な話であっていただいてうれしいです。理沙さんは、美人ですね。」
実際に大きな目と整った顔立ち、胸までかかる長い髪、豊かな胸と細いウエスト。長そうな脚。魅力的であった。
「あ、いえ、ニルレムさんはとてもイケメンなんですね。ときめきました。こんな素敵な魔術研究家が日本にいらっしゃるなんて。」
二人はなんだか同時に照れくさくなって、笑ってしまい、お好み焼きを注文することにした。
「僕は、ミックス玉にチーズ入れて。あとメロンソーダ。」
「私は、えび玉、豚玉、ミックス玉と焼きそばの大盛り、あとこの、えーと、いかもんじゃ一つで。あと、コーラを二杯。」
ニルレムは全然驚かない。本当に龍神の末裔ならあと五人前くらい食べても不思議ではないからだ。しかし、彼はまったく違う事を言った。
「理沙ちゃんは龍神の末裔ではないんんだね。」
「あ、わかっちゃいましたか。さすがですね。」
「そう、むしろ龍なんだね。」
理沙は優しく微笑むと恐ろしい事を言った。
「ここ、割り勘でいいですか?」
最初のコメントを投稿しよう!