nilrem

8/16
前へ
/16ページ
次へ
 紺色が腰のそれからアーミー風のナイフを抜くと、それはあっというまにニルレムの左腕、肘の少し下辺りを貫いて、テーブルに刺さった。左手は理沙の右手が触れている方の手だ。  驚いたのはオジサン達のほうだった。ニルレムが完全に消えた。そして、理沙も現れない。理沙は店の入り口外に立っているニルレムの横に手をさわって立っていた。男たちはあたりをみまわして、入り口のほうにやってくる。 「ああ、私の出番ね。」  理沙はスナイデールの小さな黒い鞄から青い毛糸細工の龍のぬいぐるみを出した。大きさはまあ最大の長さで2センチ程か。 「あおちゃん、地脈からでてきて、透明になって、あのオジサン達を安全なところに飛ばしてあげてもらえるかな。あと、今日の記憶も。」  ニルレムはその瞬間、店の中が青い閃光で満たされるのを見た。そしてオジサン三人はどこにもいなくなっていたし、店のスタッフは普通に働いていた。ニルレムは理沙の顔をじっくり見た。 「あおちゃんはね、多分、あのオジサン達を誰もいないどこかの暖かい島にゆっくりと下ろしてくれていると思うの。私のことも、ニルレムさんの事も、完全に記憶から消えているはずよ。」     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加