満月

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しばらくして、またメールの着信音が鳴った。 僕は急いでメールを読んだ。 「あなたの夢を応援している…あの満月の日に、あなたが語ってくれた夢…今でも覚えている、あなたは覚えている?」 僕は携帯電話を落としそうになった。 僕が夢の話しをしたのは、ただ一人、あの子にだけ。 「君は誰?」 僕は質問を繰り返した。 「見守っているから、あなたの夢を叶えて、お願い」 「だから、君は誰?」 「この間は……逢いに来てくれて嬉しかった。でも、もう私のことは忘れて自分の夢を叶えてね。私はそれだけが望みだから。それじゃぁ。もう返事はできないと思うけれど。 …元気でね」 「ちょっと、待って、まだ…君は…」 急いで送信した。 しかし、返ってきたメールはエラーメッセージだった。 翌日 僕は、またあの子に逢いに行った。 四角い石の下で眠っている彼女。 僕はその墓に向かって思った。 「今の僕は君にとって、どういう風に見えていたんだろう。昔もそうやって、僕を励ましてくれていたね。君がいなくなってからの僕は何でも投げ出していて自分が恥ずかしくなった。そこから、いや君の好きだった空から見ていてほしい。これからの僕を。満月のように優しく見守っていて欲しい。君に恥ずかしくない自分になるよ。本当に心配かけてごめん」 そう思ってから、手を彼女の墓の前に差し出して、彼女の手を握るようにギュッと掴んだ。 彼女も握り返してくれたように感じた。 その夜も空には綺麗な月が出ていた。 僕はその月をいつまでも見つめていた。 携帯電話を握りしめながら。
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