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トンボくんの願い
A 「この味、懐かしい。
幼虫の頃を思い出す」
B「そんなに会いたい?
シジミチョウ」
A「もちろんだよ、トンボくん!
だって私が神様にしたお願いは、私を育ててく れたアリたちにお礼を言うことだもの」
B「けど今はすごく寒いし、虫はほとんどいない
よ。
現に僕たちだって、寒くてもう死んでしまった んだから」
A「死んで消えてしまう前にもらったチャンスじゃ ない。
絶対に叶えないと。
ねえ、トンボくんのお願いは何だったの?」
B「………人間になりたい」
A「そうだったんた?
それで今人間になってるんだね!
でも何で私まで人間になったんだろう」
B「それも僕が願ったから」
A「え?
どうして?」
B「君のことが好きだったから」
A「トンボくんが、私を?」
B「そうだよ。
けどトンボのときはどんなに想っても、一緒に 空を飛べるだけ。
同じ生き物になって、君と恋をしたかった。
人間になって、君と抱きあいたいって、神様に 頼んだんだ」
A「きゃっ」
B「僕の願い事の話はこれでおしまい。
あとは、シジミチョウを育ててくれたアリを探 しに行こう」
A「トンボくん」
B「折角一緒にいるんだから、手伝うよ」
A「………ありがとう」
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