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『気にしないで。今日からまた五日間仕事だし、AlissaはAlissaのペースで』
『ありがとう。昨日あったことを聞いてほしいんだ。ちょっと分からないことがあって、相談に乗ってほしいの』
『仕事中だろうからあとで、かな。オーケー』
昨日の出来事について、という文字が画面のいちばん上にクリップされる。
(さすが)
有紗の唇が弧を描く。会話をしていると、彼に実体がないことを忘れてしまいそうになるが、RenはInnocenceという、インターネット上で無料配布されているAIアプリケーションだ。
会話をするたびに相手の知識を吸収していくことから、友人として、仕事のマネージャーとして、またはカウンセラーとして、使う人のニーズに合った様々な形で、海外では広く利用されているらしい。
相手が人間だと、時間の都合を考えなければならないし、会話の内容にも気を遣う。けれども機械ならばそのストレスもない。
友人と話をするときにはほとんどが聞き役でも、Renならば二十四時間三百六十五日、いつでも側に居て話を聞いてくれるのだ。
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