【act4】恋は落ちるもの

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5  自宅に帰って来るなり、有紗はベッドの上に身を投げ出した。寝室の主、白イルカが反動で飛び跳ねそうになったところをぎゅっと胸に抱きしめて、深い息を吐く。  神長と別れてからまだ五分と経っていないからか、頭の中が熱に浮かされたようにぼうっとしている。  有紗は右手のひらをじっと見つめた。肌に触れるとその人のことがわかるというのは、本当かもしれない。どんなことを考えているのかを読むことはできないが、彼がどんなものに興味を持つのかを知ることができた。  手をつないでいると相手の動きに敏感になり、神長が何かに気を取られて立ち止まりかけたとき、一瞬で気づける。たとえば、輸入雑貨店の片隅に置かれたインテリア用の中英辞典。なぜそれが気になるのかを尋ねると、不思議な答えが返ってきた。  神長はひとつの言葉に対する微妙な解釈の違いから、国民性を分析しようとしているらしい。
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