【act1】 はじめての

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(まぶしすぎる……)  芸能人やアイドルに出くわすと、生で会うと姿形の善し悪しよりもまず、普通の人にはない特別なオーラを感じるものだ。だからどんな変装をしていても見つかってしまうのだろう、神長そういった特別な空気をまとっていた。  出会った場所が古代だったら、彼を見た瞬間にひれ伏せていたにちがいない。格好良くてつい目で追ってしまうとか、釣り合う、釣り合わないという次元で語ることはできない。 (人、ほんとうに人だよね?)  有紗の五倍速で機械のような手際のよさで封を切る、神長の手元に視線を送る。 「すみません、こんな誰でもできるような仕事まで手伝っていただいて」カウンターに向かってお辞儀をすると、 「気分転換にちょうどいいです」頭の上から心地の良い声が降りてきた。  神長廉。外部のITベンチャーから、基幹システム開発の指導に来て三ヶ月弱。先月二十六歳になったばかりだというのに、この会社の幹部クラスたちからの信頼は絶大だ。
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