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「俺が封を切りましょうか。綿貫さんは部ごとに分けてもらえますか。終わったら手伝うので」
口には出さないけれど、あまりの遅さに内心呆れているのかもしれない。気がつくとのんびりしてしまうようで、昔から何をやっても人一倍時間がかかってしまう。
有紗はおとなしく神長に従った。誰かのペースに引きずられながら焦らされるくらいで、ようやく一人分の仕事になる。
「ほんとうは、千晃が手伝いたそうにしていたんですけど」
「えっ」
「いったん目を離すと、もう一度プログラミングに入るときに、復習わないといけなくなるので」
「そうなんですね」
だから千晃の代わりに自分がきた、ということが言いたいのだろう。それ以上深い意味はないのかもしれないが、妙に勘ぐってしまう。
外注、出向組も含めてシステム課はとても仲がいい。もしかしたら昨日の話を聞いていて、仕事中だから遠ざけようとしているかもしれない。
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