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「よかったら、中にどうぞ。有紗もきています」
これで中に入ってきたら、さっきまで話していたことが筒抜けだったということになる。
(うちの両親の性格を考えると、聞こえてたとしたら無視できないだろうなあ。だって、廉さんはお客さんだし、外に人がいるってわかって呼びかけてるわけだし)
しばらくすると控えめなノック音が聞こえてドアが開いた。
「お母さんっ」
有紗は椅子から立ち上がった。
「盗み聞きする気はなかったんだけど、キッチンに行こうと思ったら声が聞こえてきたから。あなたたち、二人の時はどんな風に話しているのかなーってちょっと気になって」
「お母さん。さっきわたしが言ってたのは、マッサージのことだからね」
「有紗はいったい何を言っているの?」
母は眉をひそめて首を傾げた。
「一応親の前だったから、ふたりは敬語で話していたのかなって思ったけれど。あなたたちは普段からそのままなのね」
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