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少しの間だったけど昼飯を一緒に食って、微妙に仲良くなった。最後に擦り合ったのは、事故みたいなもん…そんな青春の思い出の一つになる出来事。
佐伯との関係はこれで終わり…本当に、それでいいのか?と、自分に問いかける。
んなの、良いわけねーだろ。
ドアを開けようとノブに引っ掛けていた指を外して、佐伯の方へ顔を寄せる。ついでに、相手の頭を掴むと思いっきり引き寄せて、キスをした。
「んっ、は…、!」
ねっとり佐伯の口の中をなめ回してから、唇を離す。間近にある佐伯は、驚きすぎて何も言えないって感じだ。
「ねえ、俺、もう生徒じゃないよ」
デコを合わせるようにして、目を合わせる。眼鏡の奥の三白眼は、これでもかってぐらい驚いたせいで小さくなってて笑う。ほんと、この人は悪人面だ。
「だから…連絡先、教えてよ?」
数ヶ月前に、古典の先生が嫌いだった俺に言ってやりたい。
その、黒板の前に立ってる、神経質でロボットみたいな無表情男…卒業後には、本気で好きになってるよ。
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