新井君と佐伯先生

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 ねこ太の飯の為だと言いつつ、あの暖かい国語科準備室はなかなかに居心地が良い。静かだし、変に干渉されることも無い。寝てれば、予鈴の時間で起こしてもらえる。  いつの間にか、昼になったら、準備室に行ってねこ太の飯やり。それから、渡された千円を握りしめ購買に向かい、佐伯の分の飯(おにぎり2個とかで済む)と、残りで俺の食料を買うのが日課になった。  あんまり食にこだわりが無いらしく、菓子パン知識に疎い佐伯の為に、校内一番人気のいちごメロンパンを買ってきた時なんて、なんだこの食べ物は?!って驚いてた。新鮮な反応を見るのが楽しくって、たまに違う食べ物を買って渡したりしてそこそこ楽しみが増えたりもしている。  意外と良い奴なんだって知ってからは、なるべく古典の授業も起きていようと努力するようになった。  週1しかない授業だけど、開始5分もすりゃ眠くなり10分後には夢の中…って事が多かったけど、なんとかそこを乗り切る。  眠気に効くツボとかを押しながら耐えていたら、教壇に立っていた佐伯と目が合った。俺が起きているのを見て、目を大きく見開いていた。驚いてる姿になぜだか俺の勝ちっていう気持ちになって、机の下で小さくガッツポーズをした。     
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