新井君と佐伯先生

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 せめて高校まではって、親の意地で母さんは俺を高校に入れてくれたけど、本当は中卒後すぐに働きたかった。三年間バイトはしてるが、高校生の給料なんてたかがしれてるし。早朝から深夜まで働き尽くしな母親の背中見て育っちゃ、助けたいって思うのが普通だろう。  家に入れる金を差し引いたら、俺手元に残んのなんか微々たる物。そんで月の飯代をやりくりしなきゃいけないわけだから、俺ってば実は倹約家かもしんない。  今日もその微々たる金を持って、飯を買いに行こうと昼休みのチャイムと同時に立ち上がる。一気にざわめく教室で、ダルそうなの男が声をかけてきた。 「新井、放課後暇~?」 「は?暇じゃねーよ」 「じゃあいつ暇?今度さ、女子高と合コンすんだけど、きてよ」 「はあ?やだよ」 「んな事言わずさぁ、こないだ新井の写メ見したら絶対呼べってうっさいんだよ」 「写メ?!いつ撮ったんだよ…?!」 「間違って撮れてたっぽい。で、暇な日いつ?」 「バイトで忙しーんだよ」  悪びれも無く予定を聞いてくる態度にイラっとしつつ、素っ気なく答える。それでも、休みの日ぐらいあんだろ~ってしつこく食い下がってくるのがウザくって、シカトしてそいつの横を通り過ぎた。  そうすりゃアイツの取り巻きが集まってきて、悪口の言い放題。感じ悪いすか野郎で悪かったな。どーせ、合コンって言いつつヤるだけの集まりだろ。下半身花畑のお前らと一緒にすんなボケ。     
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