新井君と佐伯先生

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 混乱する俺と、堂々としている猫。端から見たら不思議な光景だろうな。  猫は大きく欠伸をすると、前足を舐めて毛繕いを始めた。自然体な動きを見て、俺も動いて大丈夫なのかと判断すると、飯を再開させる。  再び、ぼんやりと茂みを見つめながら、もう一度かぶり付く。今度はしょっぱい紅鮭が入ってきた。まずくは無いがうまくもないおにぎりを食べていたら、視線を感じた。もう一口かじろうとしたまま視線をだけを横へ向ければ、さっきの猫が凄い眼力でこっちを見ていた。 「え…あの……」  これほどまでに、じーーーーっという効果音が似合う姿を見たのは初めてだ。食いたいのか?と声をかけてみたけど、猫はじっと見つめてくるだけで会話は成立しない。  ムシして食っちまっても良かったんだが、あまりの眼力に押し負けた俺は、おにぎりを少しだけ手でちぎって、猫の前に置いてやった。  欲しいと訴えかけてきた割には、警戒して見つめるだけ。なんだよ、俺のなけなしの金で買った飯なのに…!やらなきゃ良かったと思っていたら、顔を近寄せて、一舐め、一口。そしたら、すぐにガツガツと食い始めた。 「…腹減ってんのか…?」     
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