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【第4話】そば茶
2月4日土曜日。
なんと突然の高熱。
ゆうべのヘマのせいか。風邪をひいたみたいだった。
でも。会社は休めない。
俺は解熱剤を買って、フラフラしながら電車のホームへ。
全然薬が効いてきている感じがしない。
「ケンタ君?ケンタ君じゃん!」
マジか。
こんなところで、
レイコとばったり出くわした。
「ゆうべ、楽しかったぁ。仕事?てか、大丈夫?フラフラじゃん!」
ゆうべ。いっさい覚えてないのが残念すぎる。
俺は何か答えようとしたが、フラフラしてしまって・・
「!」
気付いた時にはホームの下に落下して、
意識が戻った時には病院のベッドに横たわっていたわけで・・。
トコトンついていない。
レイコが
そばにいてくれる以外は。
2月5日日曜日。検査の結果、幸い腕に軽い怪我をしただけと判明。頑丈だな俺。
2月6日月曜日。退院。
2月7日火曜日。出勤。 はやっ!
「大丈夫ですか?お怪我・・」
そんな俺の元に、夕方、マキさんが掃除をしながら 尋ねてくれた。
「あ、う、うん。」
マキさんは、清楚で綺麗だ。ここでレイコと比べてしまう俺。なんて贅沢。
実はレイコ、今夜 俺の家にくる。
それなのに、マキさんに話しかけられるとドキドキする俺ってなんて欲張りで、幸せなんだ。
「気をつけてくださいね。」そういうと、マキさんは去っていった。
入れ替わるようにシンジが寄ってきてこうささやいた。
「あのこ、絶対お前に気があるぜ。心配されちゃって、いいなあ。」
そういうとシンジが給湯室に俺を招いた。
さわやかなお茶の香りがした。
「そば茶だって。珍しいね。あのこが、マキちゃんが俺とお前にって煎れてくれたんだけど、これって絶対 お前のためにだよ!俺はついでだね。恥ずかしいんだね。お前の事すきだってバレるのが。」
俺はあたたかなそば茶を口に含みながら変な罪悪感を感じていた。
「それにしても急にきたね、健太のモテ期!」とシンジ。
まったくだ。怖いくらい。
怪我や病気も悪くないな、なんて子供じみた気分でいた。
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