【第5話】いいこと、わるいこと

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【第5話】いいこと、わるいこと

2月9日木曜日。営業先とトラぶった。 謝っても謝っても相手の怒りに拍車をかけるばかり。 「ケンタ君は悪くないよお。謝ることないよ何回も。なめられるよ?」こんな時も俺の肩を持つレイコ。 結構毎日会っていた。 これって 付き合ってるんじゃ・・ 「聞いてる?」目の前にかわいい顔を近づけられてハッとした。 「ふふっ。マジ、そういう顔かわいい。」レイコ、余裕だ。 「よせよ。」 この日も2人で飲み屋で夕食を食べていて、周りの客の目線を感じた。 「真面目かよー、ケンタ君。かったーい。」とレイコは笑った。 なんか、仕事なんてどうでもいいやとか考えてしまった。 2月10日金曜日。夕方。 マキさんがきた。あれ? 何も言わずにクズだけ集めて行ってしまった。・・・気になる。けど、呼び止めるほどの関係でもないかと思い直して、話しかけられなかった。 その日の夜、頭痛で吐き気がして眠れなかった。 2月11日土曜日。俺の愛用のパソコンが壊れた。大事な仕事のデータが吹っ飛んだ。バックアップもとっておいたはずが、無い。盗まれた? 2月12日日曜日。アパートの隣人からなぜか変人と間違えられて警察に通報された。 2月13日月曜日。通勤途中、車を壁にぶつけた。ミラー大破。へこみまくり。 なんかおかしい。 2月になって、いいことも悪いことも一気に襲ってきて、ひたすら必死だ。 街を歩くと、バレンタインチョコが並んでいる。 ああ、明日バレンタイン。か。 レイコ・・から何かもらえたりして。そうでもなきゃ、こんだけいろんなことあって、やってられねえ。 レイコとは毎日のように会っていた。部屋にも・・何度も入れて。 付き合ってとか、好きとか、お互いに言っていない。でも、俺はきっとレイコのことが・・。 マキさんのことも気になるけど、気になるだけで・・ こういうのは、なにもかも初めてだから、俺の方からきちんとレイコに想いを告げるべきかも。 付き合おうって。 告白は、バレンタインデーがきっといいんだろうな、なんて考えてる場合でもないだろうに。 仕事や自分の健康状態はメチャクチャなのに。
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