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【第7話】紙袋
家に帰るなり急いで
マキさんにもらった紙袋を開けた。
まず、手紙だ、手紙!気になって仕方がなかった。勢いよくあけて
一行目を見て息をのんだ。
『けんたさん。霊子
れいこ
あれは
鬼です。』
頭が真っ白になった。
「なぜ」、が次々に浮かんできて。
まず、俺はたぶん一度もマキさんの前で「レイコ」の名を口にしたことはなかったはず。
そして、霊子、じゃない、麗子だし。これは勘違いだとしても、
鬼だ、とかいきなり、なんだ?!
いくらこれが女の嫉妬だとしても、怖すぎるだろ。
俺は急いでその先の文章に目をやった。
『私は、あなたが産まれたときからずっとそばにいた。』
なんだと?
『あなたが幼いころ、あなたとあなたの家族は春になると私を家に招いてくれた。』
これって
『嬉しかった。』
・・これって
『でもいつのまにか、あなたたちは私を忘れた。』
なにか
忘れていませんか?
2月3日のあの日、マキさんが俺に尋ねたあの言葉を思い出していた。
『もうすぐ霊子が来ます。このままでは、けんたさん
もっと大きな不幸がやってきます。
信じて、同封したものを彼女に・・・』
ここで文章が終わっていた。
同時に、ピンポンが鳴った。
のぞき穴から見た。
レイコだ。
そして俺は、マキさんからもらった紙袋を開けて、それを、玄関のドアを開けると同時に
レイコに軽く
投げた。
袋の中身。チョコかと思ったら
「豆」
・・・だった。
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