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魔王様の片思い
この世に魔王がいなくなってから数十年の歳月が流れた。
ギガラムルは、配下の魔物たちに材料を集めさせた後、城の一室に巨大な魔法陣を描き、その中心に魔王オルガスの首のない亡骸を置いた。
「それでは、スター、後は頼むぞ」
「わかったわ」とスターは頷き、軽く首を回した。「面倒だけど、仕方ないわよね」
魔物たちに集めさせた材料で作った秘薬をオルガスの遺体に振りかけてから、スターは魔法陣の前に立った。そして精神を集中させ、呪文を唱えながら魔力を溜める。彼女の声だけが響き渡る室内の中、ギガラムルや魔物たちは緊迫感のある面持ちでそれを見守った。
「〈蘇生魔法〉!」
最後に魔法名を唱えると、眩い閃光が室内を満たした。そして光が消えた後、魔法陣の中心には復活した魔王が立っていた。
王の復活で沸き立つかと思いきや、ギガラムルは小さくため息を吐き、顔をしかめながら魔王のもとに歩み寄った。
「魔王様!」
「ギガラムルか。いやあ、スターもみんなも、すまなかっ」
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