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空がオレンジ色に変わり、村中に夕刻の鐘が鳴り響く。一応門限があるルーヴも帰宅するため重い腰を上げた。でないと今度は門限破りでリーに叱られるだろう。
外梯子で塔を下りた彼は、方々に落としてきた自分の持ち物を回収――こうすると気配を分散させてリーを惑わせられる――する。そして埃っぽい集落をとぼとぼ歩いて帰路に着いた。
「お、ルーヴ! 今帰りか?」
「リー先生にちゃんと謝るんだよ」
浮遊魔法で通りすぎていく人達が口々にルーヴに声を掛ける。ひとり徒歩で行く少年は目立つ。ルーヴは頷くに留めた。
「ルーヴ! おいルーヴ!」
そこに声を潜めて呼び掛けてくる声。ルーヴが見ると、二人の少年が物陰から手招きをしていた。
一人はアウィス・ウイレワール。長い茶髪を後ろで束ね三つ編みにしている。クールで頭がキレる知恵者だ。
もう一人のツンツン立たせた緑髪がムッカ・タウロス。そばかす顔のお調子者。
二人ともルーヴと同年の友人である。「なに?」とルーヴが駆け寄るとムッカは「シーッ」と己の口に人さし指を当てた。三人は揃って物陰の奥に引っ込むと輪になって座る。
怪訝な顔のルーヴに「驚けよルーヴ」とムッカは含み笑いをすると、マントの下から手を差し出した。その掌の上には銀色の鍵が乗っている。
「『例の』鍵だぜ!」
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